「なぜうちの子は本番に弱いのか?」手塚一志

3話 なぜ、ほめてはいけないのか?

18話 できる選手は教わらず、揉む?

 その点、盗む力を持っているアスリートは、たとえ選手生活のなか
で最高の成功体験であったとしてもしょせん過去のモノ≠ニして割
り切ることができます。
 「4年前に金メダルを取れた。でもあの頃はあの頃。いまはすべて
が変わった。今回は現時点で最強の自分で勝負に行く」 こう考えられ
るのが深化を続けられる<Aスリートに共通の姿勢だと感じてきま
した。彼らは世界の頂点に立ったその後も、「自分を伸ばすことがで
きる」と感じることに関しては、それもいただいてしまおう、これも
取り込んでしまおうとどん欲にトライし続けます。

 教わってもダメ・・・かといって、殻を閉ざしてもダメ。「これだ
けの成績を残し、この歳になって何をまだ欲しがるのか?」こう思わ
せる選手の共通項は、教わらず、殻を閉ざさず、その替わりにつねに
他から盗んで≠サしてそれを、彼らの体内で揉む≠フです。

 揉む=H そうなのです。彼らはボクから吸収した新たな試みを、
むしろ違和感が生まれることを楽しむかのように体内へと取り込み、
これまでの選手生活で確立させた技能の濃厚なスープの中に放り込ん
で、錬って揉んで、いつの間にか「秘伝の自家製スープ」に仕立て上
げてしまう能力があります。


 言い換えれば、彼らは新しいことそのままの形で取り込むわけでは
なかったのです。いえ、いったんはそのまま入れます。そして、入れ
たあとに揉むのです。そうやっているうちに、これまで築き上げてき
た自分の感覚の中のわずかに足りなかったすき間にじわじわとにじみ
込んで行くように浸透します。そして気が付いたころには誰かから授
かったというよりは最初から自分の一部であったように化けさせてし
まっています。



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