「なぜうちの子は本番に弱いのか?」手塚一志

3話 なぜ、ほめてはいけないのか?
14話 マニュアル君では通用せず

 盗むことができる選手と、教えられることが好きな選手はこの辺り
が違います。彼らは1〜10までしっかり熱心に聴き、メモも取り、最
後に質問までしてくれます。
 もちろん、1〜10まですべて重要な情報なので、全部聴いてもらわ
ないとこちらも困ります。でも、全部聴いてくれたから全部吸収して
くれたかというと、どうもそううまくはいかないのです。その証拠に
このタイプの選手は、数ヶ月経つと話を提供する前と同じ問題点を露
呈するケースが少なくありません。

 原因の一つに、彼らは教えられることが好きなので、セリフを覚え
るかのように1〜10まで丸暗記するような上達法を実践しているとい
うことが考えられます。残念ながら、このスタイルでは本番に強い選
手にはなれません。相手のいるゲームやレースの中では、予期せぬ展
開やアクシデントが雨やあられと降りかかってくるはずです。臨機応
変さの利かないマニュアル丸暗記戦法では、出方のわかっている相手
には通じても、百戦錬磨の試合巧者に掛かればひとたまりもないでし
ょう。序盤にウイークポイントを発見され、中盤までには完膚なきま
でにやっつけられ、終盤は無力感と情けなさだけが残ります。

 考えられる原因もう一つは、教えられることが好きな選手は、昨日
聞いたいい話をカラダの奥深くに落とし込むその前に、次のいい話も
教わってしまう傾向があるという点です。それがいくつも重なり、ど
れも不完全な吸収になってしまい、いつまで経っても自分本来のスタ
イルが確立しないという問題にもつながります。人の話をよく聞くタ
イプということは、逆から考えれば教え魔系指導者≠ノとっても大
好物なのです。あっちもこっちもそっちも、同時にいじくり返された
あとで「センスがない、リズム感が悪い、もっとテンポを出していか
ないと・・・」と古いおもちゃのように見捨てられるのも、教わるこ
とが好きな選手によく起こる悲劇なのです。


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